やった…
のぼった…
アオバ…お母さん来たよ
ここまで一人で来たよ
並木橋商店街の自転車店「アオバ自転車」を中心にした、人と自転車の様々なエピソードをほのぼのタッチで描くハートフル・ヒューマンストーリー。一話完結・連作形式のため、どこから読んでもスッキリできる上に、登場人物が思いもよらないところで再び登場したりと、物語の背景にも深みを感じさせる作りになっています。もちろん登場する自転車は実在のものばかりで、身近な感動を読み手に与えてくれるでしょう。
表紙はアオバ自転車の看板娘、ワカバ・アオバ親子。収録作品は、
一人旅に出たアオバ自転車の若女将・ワカバと、旅先の島のレンタサイクル店との出会いを描く第1話
ゴテゴテした多機能性についていけない世代に贈るシンプルな自転車を描いた第2話
「子供乗せ自転車」という特異性を持った自転車同士のライバル関係が、幼稚園を舞台に繰り広げられる連作第3・4話
トライアルのヒーロー、ススムの想い人騒動をコメディ色たっぷりに描いた5話
亡くなった高校時代の親友から自転車を形見分けされた男の第6話、
我等がアオバ自転車店主・工一の高校1年時代のエピソードを綴った第7話となっております。
今巻も非常に温かみのあるエピソードで堪能させていただきました。中でも第一話「ワカバ一人旅」のワカバさんにはシビれまくり。病弱だった彼女が一人旅というだけで感慨深くクるものが有るというのに、旅先で出会った素朴なレンタサイクル店にディスプレイされた自転車に踊る「TOUGE」の文字を見た時なんて、まるで自分の事のように嬉しくなってしまいました。
更に、自分の身分を明かさないまま、見ただけで事の経緯をズバズバと推察していくワカバさんの敏腕女将ぶりにシビれ、島のレンタサイクル店を選んだこの店の前代の職人気質溢れる夢と意地に震え、最後に言い知れない気持ち良さを与えてくれる、自らの名を明かすワカバさんのワンカット…!!。時代劇あたりで使い古された手法だけど、ボクはやっぱりこういう王道が好きなんだなあ…と改めて実感させられた良エピソードであったと思います。

